どのような基準で塗料を選べばいいの?
外装塗装ではどんな色で家を塗り替えるかも重要ですが、どんな塗料で塗るかが非常に重要です。
どんな塗料で塗るかは長年塗装工事をしてきたプロでさえもとても難しいと言われています。
塗料はアクリル、ウレタン、シリコン、フッ素の成分の
4種類に分かれます。
また、それぞれに溶剤タイプと水性タイプがあり、
更には硬質タイプと弾性タイプ、そして薄塗りタイプと厚塗りタイプがあります。
それ以外の効能で低汚染性、防カビ性、断熱性、防藻性、透湿性なども考慮する必要があるでしょう。
また、このような多様多種の塗料が様々なメーカーから発売されています。
このように考えると、素人の我々にはどれを選んでいいかハッキリ言ってわからないといってもいいと思います。
結局、業者の言われるがままに塗料を選んでしまうというのが一般的な選択でしょう。
正しいアドバイスのもとに塗料を選べればいいですが、利益重視の悪徳業者ならば不必要な効能の塗料を勧めるに違いありません。
そんな悪徳業者の口車に乗らないで自分にとって最適な塗料を選ぶためにはいくつかの基準を持つ必要があるでしょう。
まず第1に言えるのが耐久性、第2が価格となります。
外壁塗装は一回で数十万から場合によっては100万円以上ととても高額なものです。
ある程度耐久性があるものを前提として価格を考慮して、選ばなくてはなりません。
詳しくは塗料の種類と耐久性について・どんな塗料がおすすめなの?を参考にしていただければと思います。
第3が環境適応性となります。
これは環境対策のことになります。
いくら耐久性の強い塗料を塗ってもこの塗料が塗ったあとに臭いが残り、体に有害な塗料であった場合はその後安心して家に住むことはできません。
そのようなこともあり、最近では臭いの残るシンナーで薄めて塗る溶剤タイプの塗料が少なくなり、水で薄めるタイプの水性タイプが増えてきており、水性タイプを塗ることが多くなっているようです。
しかし、同じ樹脂塗料の溶剤タイプと比べると若干ですが、耐久性に欠けるように言われていますので、最近では弱溶剤タイプと言われる溶剤タイプの耐久性と、水性タイプの環境性を持ち合わせた塗料も登場しています。
カタログにはNAD型塗料とも書かれています。
場合によってはこの弱溶剤タイプの塗料を使うことによって環境適応性を考えていただければと思います。
第4が防汚性です。
これは汚れの付きにくさを表すものです。
外壁の汚れの主な原因は静電気と油です。
これは合成樹脂でできている塗料は塗膜に風が吹き付けることにより、摩擦が生じ、塗膜表面に静電気が発生してまわりに浮遊しているホコリを吸い寄せてしまうのです。
また、静電気によって一度吸い寄せられたホコリはなかなか離れません。
要するに塗膜自体がもともとホコリを付着させてしまう性質を持っているということです。
最近ではこれらの静電気を発生しにくくする低帯電性の性能を持つ塗料が発売されています。
これは静電気を発生しずらくして、また静電気が発生したとしてもすぐに消滅してしまうような性能を持っているため、低帯電性の効果によりホコリを吸い寄せずらいので汚れが付きにくいということです。
電気は汚れを引き寄せる力ともいうものですが、油は汚れそのものです。
そもその外壁の汚れの大元は家庭の換気扇からでる煙や車の排気ガスなどです。
これらはすべて油性の汚れです。
塗料は合成樹脂ですので、油性となります。
したがって、塗膜と油性の汚れが油性同士で合体してしまい、それがどんどんと蓄積していってしまいます。
また、塗膜と汚れがくっついてしまうと油は水を弾いてしまいますので、雨水によって汚れが洗い流されることが出来ないのです。
よって、汚れを付きにくくするには塗膜を親水性にすればいいというわけです。
これにもっとも適しているのがセラミック複合塗料です。
一見名前も似ているので、セラミック塗料と同じと思ってしまいますが、仕組みはまったく異なるものです。
セラミック複合塗料は塗った後に乾く過程でセラミック成分が塗膜の表面に浮き上がり硬化していきます。
完全に硬化するとガラスのように親水性の塗膜を作ってくれます。
塗料は油性なのですが、塗膜の表面が親水性となり、水に馴染んでくれるので油を弾いてくれます。
要するに水と油が混ざり合わないのと同様で、塗膜と汚れがお互いしりぞけあい、汚れを雨水が洗い流してくれるのです。
更には表面が親水性のために風が吹いても静電気が発生することもあまりなく、汚れを引き寄せることも少なくなります。
汚れを付きにくくすることを重視するならば普通のセラミック入りの塗料を塗るよりもセラミック複合塗料を塗るのがおススメとなります。
また、最新の塗料には光触媒塗料というものもあります。
太陽光によって塗膜に親水性を生み出す仕組みです。
これはセラミック複合塗料と原理的にはとても似ていて、とても防汚効果があります。
しかし、太陽光があまり当たらない個所では本来の効果があまり期待できずに建物の南側と北側で汚れ具合が極端に違うというデメリットがあります。
また、光触媒は発売されてあまり時間が経過していないので未知数のことも多く、値段もまだ高いので、現在ではセラミック複合塗料の方がメリットが多いように思います。
耐久性・価格性・環境適応性・防汚性の基準をもとにバランス良く、塗料の長所や短所を把握したうえで最適な塗料を選んでいただければと思います。
具体的にはランニングコストを重視して耐久性のある塗料を主体に選んでいくという考え方もあるでしょうし、決まった予算内で収めたい場合には価格の安さを重視するといったこともひとつの基準でしょう。
また、小さなお子さんがいるような場合は何よりも環境適応性を重視するのもいいと思います。
更には家の美観を重視するならば防汚性を重視してその様な塗料を選ぶのも立派な選択です。
このような基準を自分で事前にしっかりと持っておくことで業者の言いなりになるのではなく、自分自身が主体で納得できる塗料を選ぶことができるでしょう。